1.EMP対策の重要性
2.EMPの影響
3.EMP存続計画
4.EMP存続計画の戦略的焦点
EMP存続計画における戦略的焦点
壊滅的なシナリオにおける自衛隊HEMP存続計画は、国防戦略の重要な部分である。この計画では運用上の継続性を維持するために、運用上重要なインフラと公共/民間部門の能力、プロセス、サービス、そして自衛隊の全体的な習熟度を考慮する必要がある。
日本の自衛隊HEMP存続計画は、次のように戦略的に優先順位を付けるべきである。
①C4Iとインテリジェンス – 施設とプロセス。
②空軍および積極的航空防衛 – 施設およびプロセス。
③遠隔自衛隊基地など中央国防施設を利用できない遠隔自衛隊施設。
④重要なインフラ、公共および民間部門の能力、自衛隊存続計画に関連するプロセスとサービス (原子力発電所、貯水地、ガスおよび燃料インフラ、通信会社、ISP、建設会社など)
EMPから守られた自衛隊を実現することは、短期的にも長期的にも大きな挑戦である。既存のすべてのインフラに対するEMP防護の建設(非常に高価)と、EMPに対処した新しい自衛隊インフラのすべての建設(ずっと安価)との間の固有の緊張を緩和するために最適化されたプログラムが必要である。
自衛隊の運用上の習熟度は、運用準備の3つの要素(人、プロセス、およびテクノロジ)すべてを強化する包括的なトレーニングプログラムに基づくべきである。自衛隊をEMPプロジェクトの技術的リーダーとし、また自衛隊の運用継続性を維持することができるという、プロジェクト全体の側面を示している。
更に人的資源の開発に関しては、EMP存続オペレーションに関する自衛隊のすべての幹部のリーダーシップに高度な教育を提供することが重要である。それとともに、EMP攻撃シナリオにおけるオペレーション能力を維持するためには、自衛隊の中に選抜された「ホワイトハッカー」グループを訓練することが重要である。 敵はEMP攻撃を実行し、その直後にサイバー攻撃を行い更なる破壊を行う可能性があるため、自衛隊が様々なシナリオおよび突破的で極端なシナリオ下で敵意のあるハッカーから国家を守るための広範な運用能力を持つ「ホワイトハッカー」グループを育成することが不可欠なのである。
おわりに
自衛隊のサイバー防御能力を改革することは、日本の国防戦略の重要な部分である。本論は、自衛隊 EMP存続計画の重要な要素、つまり効果的で持続可能な実行プロセスが可能であることを実証している。この分野においてイスラエルのノウハウと実践的経験をもって当該計画を実現に導くことは、非常に有用であり、日本に広範かつ複数年にわたる国家レベルのプロジェクトにおいて有利なスタートを提供するであろう。
論者紹介
ヤロン・ローゼン元准将は、イスラエル国防軍の空軍パイロットを務め、最近32年以上の優れた実績と共に軍役を完遂して退官した。イスラエル国防軍では、最後の役職としてイスラエル国防軍のサイバー改革プロジェクトを率いる部隊の主任アーキテクトであるイスラエル国防軍サイバー司令長官を務め、政府と民間業界の両方において国際的人的ネットワークを駆使して、イスラエル軍のサイバー部隊の指揮命令系統・装備・人材育成体制を構築した。現在、ヤロン・ローゼン元准将は国土安全保障を強化するためのハイエンドのサイバー能力を備えた国々のサイバー防衛能力構築を支援することを専門としている。 政府・防衛・法執行機関向けに、国家レベルのインテリジェンス機能、運用機能、サイバー製品、およびサイバー製品の供給機能を構築している。ヤロン・ローゼン氏は、イスラエルのSTB Holdings Co. Ltdが組成する最先端のサイバーチームのメンバーであり、当社(STB Holdingsの日本総代理店)の特別顧問を務めている。ヤロン・ローゼン氏は、USAF大学で戦略研究の修士号を取得している。 Bar-Ilan大学、Magna Cum-Laudeで経済学の博士号を取得している。ローゼン氏はHerzeliya学際科学センター(IDC)の テロ対策研究所(ICT)の研究員でもあり、サイバースペース研究の活発な指導者でもある。