1.EMP対策の重要性
2.EMPの影響
3.EMP存続計画
4.EMP存続計画の戦略的焦点
HEMPの脅威
原子爆弾開発を担った米国マンハッタン計画の科学者たちによって、強力な高高度電磁パルス(HEMP)が予告されていた。 HEMPは1962年に地球上空数百キロで核実験を行った際に、米国によってハワイ近辺の太平洋で、またソ連によってカザフスタンで検証された。電子および電気システムの損傷が注目され、その影響は軍事的脅威の可能性があると認識された。
HEMPの効果
HEMPは非常に激しく(50kV / m)、そして非常に短時間(このパルスでは30ns)の電磁場(Mil Standard 464に述べられている)を発生させる。その爆発は地平線の彼方まで地球を覆い尽くす。 400キロの高さに達し米国全域をカバーする。それは電力ケーブルや電気通信ケーブルなどの金属絶縁導体に強い電圧と電流を誘導する。これらケーブルに接続されている機器は損傷を受け、バッテリ駆動の携帯電話やラップトップコンピュータのようにケーブルが接続されていない機器は一般的にはHEMPの影響を受ける。
HEMPの影響を受ける施設の強化
コンピュータ、データセンター、C4Iセンターおよび関連する電源ケーブルと通信ケーブル(施設間の電源ケーブルおよび通信ケーブルを含む)などの商業的に供給が何時でもできる電子機器を収容する大規模施設は、HEMPに対して脆弱である。重要な地上施設防御に関する米国の主な規格は、Mil Standard 188-125-1であるが、これはシールド効率などの性能要件を詳述しており設計指針を提供している。主な防御手段は、施設全体または施設内の選択された重要な区域のいずれかにわたって、施設の表面、壁、床および天井を覆う溶接鋼板製のエンベロープシールドである。
シールドは構造体の外部にあっても内部にあってもよい。入口となるポイントであるドア、換気口、電源、信号ケーブル等は、シールドドア、 ハニカム換気、電力、通信用EMPフィルターによって保護される。これらはすべて標準的な市販品である。EMPの影響を受ける施設の強化は、優先度別に詳細設計から始まる。将来の建設プロジェクトで実施するのはより簡単であるが、既存の完成した施設に対して行うのは非常に困難であるがやりがいがある。
施設へのHEMP対応への強化コストは、新しい建設プロジェクトの構造物のコストの10〜15%の範囲になるが、既存の施設で見積もることがより難しくなる。 既存の施設のコストへの見積もりはそのそれぞれの施設の現状の実態評価をした上でEMP対応強化の必要性を優先順位を付けた注意深い詳細な計画によって決定される。EMP対応強化のための建設規則を早く取り入れれば早く取り入れるほど、将来の防衛省・自衛隊の防衛施設・コンピューター・通信システムの予算は低減されるであろう。