1.EMP対策の重要性
2.EMPの影響
3.EMP存続計画
4.EMP存続計画の戦略的焦点
試練を乗り越える
多面的な運用構築プロジェクトに取り組むためには、体系的な改革プロセスが必要である。この改革プロセスは、イスラエルの防衛分野における長年の経験に基づいて開発され、設計された。 ここでは、防衛省・自衛隊のHEMP存続計画の重要な要素を構築し、成功裡に実行する方法を提示する。この改革を実現するためには、明確に定義された改革方針は、明確な戦略的方向性、優先順位付けされたロードマップの設計、運用と戦術レベルの実行順序を生み出すためのいくつかのカギとなる要素によって策定されねばならない。
HEMP存続率改革モジュールは、優先順位付けされた複数年プログラムを慎重に構築して実施されるように設計されている。このような大規模なプログラムを編成するためには、防衛省内部にHEMP存続管理局を設立するのが有効である。この部局は、すべてを牽引し、部署間の調整を行い、関連する民間部門の関係者を調整し、戦略的レベルの意思決定者と改革モジュールを先導し、プロジェクトの実行と予算の監視を継続する。
モジュール1 – 物理的重要施設の評価とマッピング
戦略的な意思決定を可能にするには、自衛隊のプロセスと施設を完全に理解し、現在の物理的な建設状況と重要なサイバーシステムを評価し、プロジェクトの範囲を評価し、テクノロジーとHEMPのダメージ調査が必要である。戦略的なレベルでの意思決定は、存続可能プランを形成する上で重要なフェーズである。戦略的な指示には以下の諸点が含まれる。
1.相対的な脅威に関する指示(実際の脅威に関する情報活動と運用上の考慮事項に基づく一連の技術運用上の決定) 敵は誰であるか。脅威の可能性とは何であるか(配信システム、規模、攻撃のシナリオ)。そのような攻撃にはどのような準備レベルが必要であるか。
2.重要な施設の優先順位 自衛隊と相関関係にある国家の施設(重要インフラとサービス たるエネルギー、水)、防衛と安全保障上の施設(軍事機関と軍事防衛能力)、自衛隊の公共部門と民間部門の施設(インターネットサービスプロバイダー、通信、重機施設など)の優先順位を付ける。
3.大規模なサイバー模擬実験 国家的レッドラインと回復力のある構造建築施設を構想する。このレッドラインは存続計画とEMPシミュレーション相対評価のための参考として使用される。
これらの決定事項は、関連する課題の専門家と共に、数回の連続的な戦略的レベルのワークショップで作成される。これらの決定結果は、次フェーズの設計と計画に役立つ。この取り組みと平行して、設計段階が終了し入札プロセスが公表されるまでに、行政側は民間セクターを評価して適切な請負業者が当該プロジェクトを引き受けることができるようにする必要がある。更にHEMP管理部局は、入札プロセスへの参加を希望する関連請負業者が採用する新しい自衛隊の施設建築標準として採用されるEMP建設仕様およびプロセス標準を公開する必要がある。これらの標準は、将来の重要インフラをEMP対策強化基準に従って建設するために非常に重要である。
モジュール2 – 設計
改革ロードマップの設計段階は、このような複雑なプロジェクトの成功に最も大きな影響を与える。ロードマップ設計とテーマの優先順位付によって、実施計画に戦略的指示を統合することが可能になる。クロスミッションチーム(CMT)が自衛隊の各部隊に配置され、すべてのEMP対策強化プロジェクトを指揮する。各CMTには自衛隊サービスプロジェクトオフィサー、EMP対策請負業者、運用部門の代表者、管理技術者、予算担当者、QAなど、特定のプロジェクトに関与している各メンバーが含まれる。
EMPの試験的シミュレーションは、脅威評価の健全性をテストし、建設計画の見直しをするために実施されねばならない。設計の壊滅的な失敗を回避し、その結果としてHEMPシールドが無効になることや、国家規模の災害を回避するには、適切なシミュレーションが必要である。このモジュールは全体的な設計段階の成功のために重要である。主にこのプロジェクトを主導する請負業者によって蓄積された実用的な経験に基づいている。したがって最も経験豊富なグループがこの活動を主導することが非常に重要である。
EMPユニットを構築するためには、別のプロジェクトグループを指名する必要がある。このユニットは、EMPの運用とプロジェクトに関する自衛隊の主要な責任組織として活動する。当該責任には、技術計画および物流緊急作戦、EMP予備備蓄、ユニットHRの採用、EMP教育とトレーニングなどが含まれる。このユニットは、自衛隊 EMP復旧回復力計画およびすべての関連自衛隊機関における年間トレーニングプランを責任を持って担当する。防衛省EMP存続管理局は、自衛隊 EMPユニットとの強力なプロセス – 監視責任、プロジェクト予算計画およびプロジェクト契約プロセス–を開発する必要がある。
この段階では、コストに対する設計が重要な課題になる。モジュール1で戦略的指令によって定義された予算の制約と優先順位は、品質ではなくプロジェクトのペースに影響を与えるために、入札プロセスの指示書におけるプロジェクト予算制限に反映される。
モジュール3 – 構築
実行段階は、予算の制約にもよるが、防衛省・自衛隊のHEMP復旧回復力を約5〜10年で構築することを目的とした複数年プロジェクトになる。プロジェクト予算は、防衛省・自衛隊EMP存続管理局と、実行のために関連する自衛隊組織に委任された特定のプロジェクトによって一元的に編成される。
各プロジェクトは以下の目標を網羅する必要がある。
①HEMP防護システム設計を提供する。
➁検証可能な費用対効果の高いテストと分析を提供する。
③HEMP強化ライフサイクルの維持水準を提供する。
④HEMP構成基準と適切な文書化を確立する。