健康は事業の礎

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健康あっての事業

経営の現場は、理屈や理念だけでは前に進まない。資金調達、顧客獲得、競合との競争、時には裏切りにも直面しながら、創業者は常に走り続けなければならない。だがその先頭を走る起業家の身体が倒れた瞬間、会社の歩みも止まる。事業の限界はしばしば創業者の体力の限界であり、精神の限界である。精神は肉体という器を超えることができない。いかに強い意志や壮大な構想を持っていても、身体を壊せばそれらは叶わない。成功は情熱だけではなく、継続して戦い抜ける健康な体がなくてはならない。

食事と睡眠は経営の最重要事項

多くの起業家は結果を急ぎ、睡眠を削り、食事を簡素にし、運動を後回しにする。無理を重ねた働き方は長期的な成長を妨げ、視野を狭め、判断力を鈍らせる。追い詰められた経営者ほど強気の決断に走り、冷静さを欠き、誤った賭けに出てしまう。心身が疲弊した状態での意思決定は、時として企業の命運を左右する。それゆえ起業家は、自らを酷使することを誇るべきではない。倒れるまで働くことは美徳ではなく、経営者としての責任放棄に等しい。組織の存続は創業者の健康にかかっている。

食事は起業家のガソリンである。高いパフォーマンスを求めるなら、身体に良い燃料を入れるべきだ。栄養バランスの乱れは、集中力・判断力の低下へ直結する。忙しさを理由に適当な食事で済ませることは、未来の成果を削っているに等しい。睡眠も同様である。十分な睡眠が取れないと、脳は情報を整理できず、創造性も発揮できない。深夜まで作業をすることが努力ではなく、適切な休息を取ることが戦略なのである。

運動と習慣が未来を決める

運動は体力維持だけでなく、精神の安定を支える。走る、歩く、筋トレをする。それは単なる健康維持ではなく、心を磨き意思を強くする自己鍛錬だ。体が強ければ精神も強くなる。事業には登り坂が必ず訪れる。その坂を登り切るためには、筋肉と同じように精神力にも持久力が必要だ。焦りや恐怖に支配されず、一歩ずつ未来を切り拓くには、強い身体が土台となる。

会社を育てるより先に、自分の肉体を整えること。自己管理は経営そのものの一部であり、後回しにしてはならない。戦い続ける起業家と、体力の限界で離脱する起業家の違いは、日々の生活習慣に宿る。食べ方、眠り方、運動の習慣、休息の取り方。それらは経営戦略と同じくらい重要な投資である。

起業は長距離走である

起業とは長距離レースだ。ゴールに辿り着くのは、最も速く走る者ではなく、倒れずに走り続ける者である。だからこそ、起業家にとって最初の経営課題は自らの健康を守ることである。それを疎かにする起業家に成功はない。健康管理こそ最大の経営努力であり、未来を勝ち取るための最強の戦略である。


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