銀行の本音
銀行は 「借りる必要のない人に貸したい」 という、実は矛盾した論理で動いている。したがって銀行と向き合うには「必要な時に借りるのではなく、銀行が貸したい時に借りる」ことである。必要もないのに資金を借りるのは起業家としては不本意だろうが、これは感情ではなく制度と本質に基づく論理である。以下では、銀行の論理を前提とした対峙法を経験から整理する。
銀行借入の鉄則
銀行借入はお金が必要になる前に手を打つのが鉄則である。資金が足りなくなってから動くのでは遅い。銀行は本音ではキャッシュが潤沢な人に貸したいのであって、潤沢でいられる間に借りるのである。余裕がある段階で融資枠を確保し、決算好調期に借入を実行する。余裕がある時こそ融資を依頼し、晴れの日に借りて、雨の日に備える。これが銀行攻略の鉄則である。
銀行の判断軸は未来ではない
銀行の判断軸は返済可能性であり未来ではない。銀行は実は未来の事業計画を理解していない。銀行は事業の夢より、数字・資産・返済原資を重視する。銀行は未来を一緒に駆け抜けてくれない。抜け駆けする。
銀行が真剣になる時
銀行は競争環境ができた時にはじめて真剣になる。銀行は他行も出すと分かると態度が変わる。したがって起業家は、銀行借入を導入しようとする場合は、複数行と面談し、同じ内容の説明を同時に行い、一行を選択する。競争が生まれて初めて、銀行は前向きになる。
銀行とは自信をもって取引する
資金が必要な時ほど自信を失ってはいけない。追い込まれた経営者は表情・言葉・態度にそれが出る。銀行が最も貸したくないのは不安の漂う経営者である。銀行から融資を断れた際には丁重に検討のお礼を述べる。他行から融資がおりた際には、謙虚に報告をする。
銀行との付き合いは、起業家にとって楽しいことはまずもってない。人間修養だと思うしかない。成功して、銀行の方からお付き合いをお願いされるようになる以外に、溜飲を下げる方法はないと知るべきである。
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